焼付け塗装は、耐久性・美観・機能性を求められる製品に幅広く採用されている表面処理技術です。特に産業機器や自動車部品、住宅設備などでは、その優れた塗膜性能が重宝されています。しかし、一口に焼付け塗装と言っても、使用される塗料にはさまざまな種類があり、それぞれ特性や用途が異なります。本コラムでは、代表的な焼付け塗料の種類とその特徴をわかりやすく解説し、適切な塗料選定のヒントをお届けします。
ウレタン塗料
柔軟性・耐摩耗性・密着性に優れた塗料です。仕上がりの美しさもあり、中〜長期的な使用に対応できます。
耐薬品性や耐久性もあり、住宅建材や車両部品、家具など、さまざまな用途で使われています。
コストと性能のバランスが良く、屋内外問わず使える万能型といえます。
アクリル塗料
発色が良く、ツヤがあり、美観性に優れた塗料です。塗膜が比較的硬く、仕上がりもきれいですが、紫外線や風雨に対する耐久性はやや低めです。
そのため、屋内使用や短期用途の製品に向いています。価格も安価で、コスト重視の現場で重宝されます。
メラミン塗料
安価で扱いやすく、硬度・耐熱性・耐摩耗性に優れた塗料です。古くから広く使われており、事務機器・家具・家電製品の塗装に多く使用されています。
ただし、耐候性や耐薬品性は限定的なため、基本的に屋内用です。コスト重視で、焼付け塗装の入門塗料ともいえます。
フッ素塗料
非常に優れた耐候性・防汚性・耐薬品性を持つ高性能塗料です。焼付けすることで強固な塗膜が得られ、屋外や過酷な環境でも長期間劣化しにくい特長があります。
コストは高めですが、メンテナンス性や長寿命の面で長期的に見ればコストメリットが高い塗料です。
橋梁、外装材、航空・産業機器など、高耐久性が求められる製品に最適です。
塗料別 特性比較表
| 塗料名 | 耐候性 | 耐薬品性 | 美観性 | コスト | 主な用途 |
| ウレタン | ◯〜◎ | ◯〜◎ | ◎ | ◯ | 建材、自動車部品、家具など |
| アクリル | △ | △ | ◎ | ◎ | 屋内装飾品、看板、イベント用品など |
| メラミン | △ | △ | ◯ | ◎ | 家具、事務機器、屋内部材 |
| フッ素 | ◎ | ◎ | ◎ | △ | 屋外構造物、建築外装、重機部品など |


